液晶絵画 Still/Motion

国立国際美術館 2008.4.29−6.15




 一見、同じ動作の繰り返しと見過ごし(思い過ごし)がちな日常風景、しかし水面映る映像は地上での動作とは観察すると違っているし、しかも停止画像までが画面に残存している。

 哲学的には、現実と現象の違いであるとも言えるでしょう。

 また、真実や本質と現実との違いとも言えるかもしれません。

 この「プールの反映」(1977−79)と題されたビル・ヴィオラ(1951−)の作品は、展示室最初の作品として、インパクトがあります。

 楊福東(ヤン・フードン 1971−)は「雀村往東」(2007)で一見廃墟化しつつある村を飢えた犬の視点で6面のモニターで表現しています。

 映像作品の分野では著名なサム・テイラー=ウッド(1967−)は「スティル・ライフ」(2001)で果実の、「リトル・デス」(2002)では食用のウサギの朽ちてゆく姿を早送りで見せています。

 彼女自身がマリアの姿となった「ピエタ」(2001)も出展されています。

 1970年代、ロック(特にプログレッシブ・ロック)・ファンでは名前の知らない人はいないほど有名なブライアン・イーノ(1948−)の作品では幻想的な音楽をBMGとして、「ミステイクン・メモリーズ・オブ・ミディーヴァル・マンハッタン」(1980/81)と「サーズデイ・アフタヌーン」(1984)を同時並行してシャープ製の液晶モニターに映し出しています。

 他にも森村泰昌やジュリアン・オビー、やなぎみわ、千住博等全15作家の作品が出展されています。